目と鼻の先
残暑厳しいとある日、電車の車内での出来事でした。
私の隣には品の良い老夫婦が座り、向こうの座席には小さな子供連れのお母さんが座っていて、
子供は行儀良く靴をちょこんと揃えて脱ぎ、大きな窓から外の景色を眺めていました。
クーラーが効いているとはいえ、まだまだ日差しも強く、うっすらと汗が滲む、そんな車内。
向こうの座席の子供は窓から何かを見つける度、
「お母さん、アレは何々!」「何々が見えるよ!」など、大きな窓から眺める景色を楽しんでいるようでした。
とはいえ、少しばかり暑い車内、
そんな呑気な子供の声も不快に感じる雰囲気が、徐々に車内に漂い始めていました。
そんな時、電車は駅に到着しました。
その駅は、他の鉄道会社の駅が近くにあり、子供もそれを見つけたようでした。
「あ、駅と駅が、目と鼻の先だ!」
今まで他愛もない事をしゃべっていた子供が、そんな言葉を急に口に出したものだから、
車内の乗客は皆、軽く笑みを浮かべてしまいました。
私の隣に座っていた老夫婦も
「本当に目と鼻の先ねぇ」と、互いにうなづき合っていました。
夏の暑さでジメッとした車内が、言葉一つでとても心地よい空間に変化する。
言葉はその場の温度まで一瞬で変えられる。そんな事を感じた出来事でした。
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私の隣には品の良い老夫婦が座り、向こうの座席には小さな子供連れのお母さんが座っていて、
子供は行儀良く靴をちょこんと揃えて脱ぎ、大きな窓から外の景色を眺めていました。
クーラーが効いているとはいえ、まだまだ日差しも強く、うっすらと汗が滲む、そんな車内。
向こうの座席の子供は窓から何かを見つける度、
「お母さん、アレは何々!」「何々が見えるよ!」など、大きな窓から眺める景色を楽しんでいるようでした。
とはいえ、少しばかり暑い車内、
そんな呑気な子供の声も不快に感じる雰囲気が、徐々に車内に漂い始めていました。
そんな時、電車は駅に到着しました。
その駅は、他の鉄道会社の駅が近くにあり、子供もそれを見つけたようでした。
「あ、駅と駅が、目と鼻の先だ!」
今まで他愛もない事をしゃべっていた子供が、そんな言葉を急に口に出したものだから、
車内の乗客は皆、軽く笑みを浮かべてしまいました。
私の隣に座っていた老夫婦も
「本当に目と鼻の先ねぇ」と、互いにうなづき合っていました。
夏の暑さでジメッとした車内が、言葉一つでとても心地よい空間に変化する。
言葉はその場の温度まで一瞬で変えられる。そんな事を感じた出来事でした。
- 2013.10.05 Saturday
- ことば
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